祖母からの日記帳 12
#祖母からの日記帳 の続きです。
昭和63年2月15日、何日振りでせうか貴女に逢いました。お祖母さんの所へ帰ると、あまり泣いた事のない貴女が大きな大きな声で泣きました。貴女はその時も咳が出ると言って幼稚園を休み、お父さんと寝ていました。
貴女は外へ出ると言って玄関まで出て来ましたが、お父さんから抱きかかえられて又、暗い部屋の角に連れ戻されました。そしてお父さんは『お母さんの所へは行かんと言ったろう、お祖母さんの家には帰らぬと言ったろ』と貴女を押し付けて叱りました。貴女はいつまでもいつまでも泣いていました。お祖母さんは何度もお父さんへ言いましたが、とうとう貴女を押さえ込んで私へ渡してくれませんでした。私は貴女が可哀想で涙が出ました。どうする事も出来ずお祖母さんは家へ帰ったのです。満足に食事もせず痩せていました。青い顔をしていました。暗い部屋でした。
まるで犯人が人質を取り部屋に立てこもった状態、本当の精神状態のお父さんではありません。本当に貴女が可哀想でした。近所の人達が時々貴女に外で逢うそうですが、いつも暗い顔をして、人目をはばかる様にお父さんの影に隠れて歩いていたと話して呉れました。
6才の貴女には何も判断出来る事ではない。お父さんが、貴女に言い聞かせてそのようにさせていたのです。
続きます…。
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